医師は診療において直接若年AYA世代のがん患者に接する機会を持つ立場だが、診療内容とは異なる患者の社会的背景を、能動的に把握する動きはまだ主流ではない。一方、院内で就労相談の役割をもつ相談員は、自らがん相談支援センターに来訪する患者の対応に限られるため、院内における若年AYA世代がん患者の支援ニーズ全体のボリュームが把握できていないと考えられる。

大学においては、がんや難病などの身体的な疾患を経験した学生の就活状況について、ほとんど把握ができていない。アンケート調査を実施する過程において、大学からは「該当する学生の対応経験がないため回答できない」旨の連絡が度々寄せられたことからも、当事者である学生が、自らがんに罹患した状況を開示して相談に来ない限り、大学としては当該学生の就活状況の把握や対応が難しいことが推測される。