専門性の高い外部支援機関としての連携

治療しながら質のいい日常生活が過ごせるようになりました。患者さんを社会へとつなぐ医療機関への役割期待はますます高まり、地域連携を行う相談支援センターの責務はさらに増加しています。とりわけ院内では完結しない就労支援は、その専門性の高さもあり、できることに限界があると感じる相談員の方も多いようです。

例えば、新しいがん診療連携拠点病院の整備指針では、患者特性に応じた対応として「就労支援の充実」「地域における連携強化」が盛り込まれています。

患者さんが社会の中の個々の役割へとシームレスに接続するためには、個別性の高いあり方に応じたステークホルダーの緊密な連携が欠かせません。私たちは多くの支援事例を積み重ねる中で、多彩なネットワークを形成してきました。ブリッジは外部の就労支援専門機関として、患者さんの仕事を含めた社会とのかかわりについて、医療機関のニーズに応えることができます。

例えばこんなことができます

  • 医療機関内個人面談の実施(定期・不定期)
  • 困難事例に対する相談員への助言・提案、オンラインによる同席支援
  • 企業連携に必要な文書交換の仕組みづくり
  • 患者さんの勤務先との連携・調整のサポート
  • 行政等、外部機関への同行支援
  • 患者さんの転院先との連携

医療機関内個人面談(就労支援の専門職による出張相談窓口)

ブリッジは名古屋市近郊の医療機関と連携して、専門的な就労支援を行っています。ブリッジでは、次の3つを大切にした支援を実施しています。

  1. 心身が変化した患者さんの意思決定支援

    復職がゴールではありません。職場といい関係性を保ち、長く働き続けられることを目指した支援が必要です。場合によっては、新しい環境での働き方に転換することもあるでしょう。個別性の高い患者さんのあり方を理解するための医療リテラシーを持つ熟練したキャリアコンサルタントが、対話を通じて患者さんの心身の変化を踏まえた自己理解を促進し、どのように能力を発揮するかについて、患者さん自らが納得し、能動的に行動できるよう支援します。

  2. 患者さんの要配慮個人情報に対するセキュリティ

    医療機関と外部機関の連携において、患者さんの情報共有は悩ましい問題です。支援に資する情報の共有とセキュリティの担保を同時に成立させなくてはなりません。万が一にも流出させる危険があってはならならないため、電話で患者さんを紹介するにとどめ、その後の支援には関知しないという形をとることも少なくないようです。紹介した患者さんが、気がついたら仕事を辞めていて、いったい何があったんだろう…ともやもやする気持ちを、医療従事者から聞くことがあります。こうなると、紹介することが本当に患者さんの両立支援に役立っているのか、確信が持てません。
    支援では、患者さんの病状や社会的な環境など、要配慮個人情報に相当する内容を取り扱います。状況の変化が著しいため、患者さん自身も治療歴や先の見通しなどの詳細を把握しているとは限らず、本人の同意のもと、医療機関の持つ正確な情報を共有して支援をする必要があります。そのためブリッジでは、セキュリティの担保を最重要課題と位置づけ、新たな情報共有システムを構築しました。患者さんに関するデータはすべてクラウド上で管理し、医療機関・ブリッジとも権限を付与された担当者だけがアクセスし、情報を入力・編集し、安全に共有することができます。

  3. 治療プロセスにおける中長期的な伴走支援

    刻々と変化する患者さんのあり方に沿って、長い治療期間を伴走することもしばしばです。その途上において、断続的な受診間隔や、地域連携による他院受診などにより、患者さんの状況把握が難しくなることもあります。受診間隔が間遠になると同時に、患者さんに支援の手が届かなくなってしまった、という後悔もよく聞きます。
    ②で説明したブリッジの情報共有システムでは、リアルタイムで情報の更新が確認できるため、勤務先との調整の状況、行政などの外部機関との連携の状況など、医療機関外の支援の進捗を継続的に把握できます。システム内で関係者間のコメントのやり取りも可能なので、互いに空き時間を用いて負担感なく状況把握をすることができます。

情報共有システムの効果について

この情報共有システムは助成金のモデル事業として構築・運用しました。第三者インタビューによる事後検証を行ったところ、本来の個人情報保護の目的を達成するだけでなく、連携する医療機関の相談員の支援技術や知識の向上につながり、結果的に支援者としての人材育成の機会としても機能するという、副次的な効果があったことが明らかとなりました。

患者さん向け院内ワークショップ・セミナー

ブリッジでは日頃より患者さん向けのワークショップ等を多数開催しています。医療機関の中で実施することにより、受診する患者さんの両立支援に対する意識を高め、院内の就労相談につながることが期待できます。ニーズに合わせた内容で開催することができます。

実施例

  • 両立支援ミニセミナー&相談会
  • 次の一歩につながるワークショップ
  • 治療とともに働くことを目指す人の就活セミナー

医療従事者向け研修・セミナー

医療機関は最善の医療の提供が目的であり、両立支援のような医療に伴う社会課題への取り組みは、関わり方がわからなかったり理解が得られにくかったりして、院内連携の仕組みづくりが難しいとよく言われます。ブリッジは多くの支援事例をもとに、医療機関全体が両立支援に取り組むための強い動機づけをつくります。

実施例

  • イチからわかる両立支援
  • 医療機関が両立支援に取り組む社会的なインパクト
  • 治療とともにある患者さんの納得のいく人生のために
  • 医療機関が両立支援で求められる役割とは
  • 両立支援における医療従事者の困りごと・やるべきこと
  • いますぐ踏み出せる両立支援の第一歩