教育現場における両立支援

教育現場ではがん教育が始まったばかりで、病気の経験を持つ人に対する理解促進の途上にある。多様性の観点から、在学中の受け入れ支援が始まっているが、疾患経験をもつ学生のキャリア形成支援は未発達な段階にある。そのため、病気の治療を経て心身の変化を踏まえたキャリア支援を実施できる受け皿が不在の状況にあると考えられる。

若年AYA世代固有の就労問題

YA世代は15-39歳と幅広く、人生における不確定要素が多い世代として共通する課題も多い一方、こと日本独自の新卒一括採用の雇用慣行においては、罹患のタイミングが社会に出る前か後かによって大きく状況が異なる。学生を中心とした若年層に限定した「これから社会に出る患者」に適した支援方法を確立する必要がある。

医療従事者のかかわり

医療従事者は長期にわたる治療期間を通じて若年AYA世代患者とかかわり、その後の社会適応への課題に思いを寄せる人も多いが、医療の枠を超えた地域社会に及ぶ直接的な支援を実施することが困難である。また有効な連携先として機能する専門性の高い支援機関を見出せないジレンマを抱えていることが予測される。

問題の潜在化

治療による心身sの変化は個人の能力に影響を及ぼすことも多いが、特に若年層は社会とのかかわりが限定していることから、現実吟味を経た自己理解が適切に行われないことが多い。本来は同じ境遇下で陥りやすい課題として社会的な対策が必要とされるが、本人あるいは家族の限局した問題として複雑化・孤立化するケースが散見される。

国の施策として求められる就労支援

第2期がん対策推進基本計画で初めて国の施策となった「がん患者の就労支援」 は第4期でますます重要性を増している。中でも若年AYA世代に対する支援については、その固有なニーズに対応できる相談支援体制が次のように求められている。

  • 効率的な医療・福祉・保健サービスの提供や、就労・教育支援等を行う仕組みを構築することで、社会的な課題を解決し、がん患者及びその家族等の「全人的な苦痛」の緩和を図る (「第1 全体目標と分野別目標」より)
  • 質の高い相談支援体制を持続可能なものとするためには、全てのがん相談支援センターで持つべき機能や対応の範囲について検討し地域の実情に応じた集約化や役割分担を行うことが必要ではないかとの指摘がある(「第2 分野別施策と個別目標」相談支援課題より)
  • 多様化・複雑化する相談支援のニーズに対応できる質の高い相談支援体制の整備を推進する
  • 拠点病院等と民間団体による相談機関やピア・サポーター等との連携体制の構築について検討する(「第2 分野別施策と個別目標」相談支援 施策より)
  • 小児・AYA世代のがん経験者は、晩期合併症等により、就職が困難な場合があるため、就労支援に当たっては、成人でがんを発症した患者と、ニーズや課題が異なることを踏まえる必要がある(「第2 分野別施策と個別目標」小児・AYA世代 課題より)
  • 小児・AYA世代のがん経験者の就労における課題の克服に向けて、ハローワークや地域若者サポートステーション等を含む就労支援に関係する機関や患者団体と連携した取組を引き続き推進する(「第2 分野別施策と個別目標」小児・AYA世代 施策より)